カードファイト!!ヴァンガード NEO

ヴァンガードを題材にしたオリジナル小説です。Twitter→ https://mobile.twitter.com/mizuiro_v

第1話 出会い

世界のTCG市場は拡大を続け、今や一大ブームとなっているカードゲーム。

その中で最も人気があるのがカードファイトヴァンガード NEOである。

世界のカードファイト人口は数億人を越え、プロのヴァンガードファイターを目指して熱い闘いが繰り広げられていた。

「よし、行こう。」

これは、ヴァンガード NEOを通じて、世界を救う物語である。

自動ドアが無機質に開き、一歩を踏み出す。

地元には何店舗かカードショップがあるが、自宅から一番近いこの「カードキャピタル」に行きたいとずっと思っていた。

「・・・」

店内は賑わっている。

それもそのはずだ。放課後のこの時間は学生も多い。土日祝を除けば一番人がいる時間だろう。

「いらっしゃいませー」

店員さんの声が聞こえた。改めてカードキャピタルに入れたことを実感する。

ただ一つ問題があった。

友達のいない僕にはファイトをする相手がいない。

仕方がないのでショーケースに並んだカードを眺めていた。

それでも僕は楽しかった。

憧れの場所。

見たかった景色。

ファイトこそできないけど、この空間には夢が詰まっている気がした。

暫くして店員さんが話かけてきた。

「ずっと眺めてるけど、欲しいカードでもあるのか?」

「いえいえいえいえ!デッキは持ってるので、、、、」

ビックリして変な返しをしてしまった。

ふと時計を見ると入店から1時間が経過していた。そんなに眺めていたのか僕は。

「そうか?じゃあ、、、おい!赤峰!相手してやれよ!」

「?」

ファイトスペースに腰掛ける3人組の1人がこちらを振り返る。

「いいですけど、知り合いですか?」

「いいや、初めて見る子だ。いいだろ。どうせ3人なんだし。」

「、、、分かりました。」

「よし!行ってこい!」

、、、勝手に話が進んでいく。

でも願ってもないことだ。ちょっと不安だけど、同時にワクワクしていた。

カードキャピタルに入っただけでなく、ファイトまでできるなんて!

「よ、よろしくお願いします。。。」

「おう、よろしく。、、、名前は?」

「騎士導ユウキです。」

「俺は赤峰ヨシキ。こっちが瀬田コウタ、それでこっちが平井ユウリだ。」

「うぃーす!」

瀬田さん、チャラい。

「・・・」

平井さん、女の子だ。おとなしそうだな。

「ファイトの経験は?」

「ないです。ルールは知ってるんですけど、、、」

「そうか、じゃあ平井、相手してやれ。」

「!」

「私ですか!?私も初心者ですけど、、、」

「何回かファイトしただろ。それに一緒に教えながらやるから大丈夫だ。」

「わかりました、、、よろしくお願いします。」

「はい!よろしくお願いします!」

気持ちが昂っていく。ずっと憧れていた。この瞬間を。

ヴァンガード NEOでいいんだよな?そしたらまずはライドデッキを用意しろ。グレード0、1、2、3を1枚ずつ置いておく。ライドフェイズに手札を1枚捨ててそこからライドしていくんだ。」

「は、はい!」

「山札をシャッフルして上の5枚を手札に。そして好きな枚数山札の下に戻して、戻した枚数と同じ数を上から手札に加え、また山札をシャッフル。ライドデッキのグレード0のカードをVサークルに裏向きでセットして準備完了だ。」

淡々と進んでいく。

ーーー昂っているとは言ったけど妙に落ち着いてもいる。何故?

楽しみなのは変わらない。でも何故か。

この気持ちを表現できない。

「イメージしろ。お前たちは惑星クレイに降り立ったか弱き霊体。今からその身にユニットを宿し、ファイトという名の闘いを始める。勝ち負けが全てじゃない。全力で闘い相手を認め合う。」

「でもまぁ、気楽にいこーぜ。・・・熱いファイトを。」

「はい!」

「はい。」

、、、平井さんは落ち着いている。いや、緊張してるのかな?

「じゃあいくぞ。」

スタンドアップヴァンガード !」

スタンドアップヴァンガード !」

「スターダスト・トランペッター!」

「忍獣イビルフェレット。」

ーーー始まった。

「ぼ、僕の先行ですね。ドロー。手札を捨ててライド。小さな賢者マロン!」

「お!ロイヤルパラディンだな!かっこいい〜!」

「スターダスト・トランペッターは先駆で移動します。マロンのスキル!手札を1枚捨てて1枚ドロー。ターン終了です。」

「なんだ。ちゃんとできるじゃねーか。」

赤峰さんが驚くのも無理はない。きっと一から教えるつもりだったのだろう。

ヴァンガードを始めたくてずっとイメージはしていた。いつか友達ができてファイトする日を夢見て。

だからルールは頭に入ってる。

うん、いける。このロイヤルパラディンたちと一緒なら。

「私のターン。見習い妖怪ササメユキにライド。イビルフェレットは先駆で移動。ササメユキのスキル。山札の上7枚からシラユキを手札に加えます。」

「お、平井ちゃん順調だな!」

節々で合いの手を入れてくる。

瀬田さんは実況向きな性格のようだ。

「では、ササメユキでヴァンガードにアタックです。」

「えーと、、、」

「まぁ、最初はノーガードでいいんじゃねーか。ダメージがあると強力なスキルも使えるし。」

「ありがとうございます。ではノーガードで。」

「ドライブチェック。トリガーなし。」

ダメージチェック。こちらもトリガーなしです。」

「ターンエンドです。」

「僕のターン。沈黙の騎士ギャラティンにライド!スターダスト・トランペッターのスキル!CB、自身をソウルへ。山札からギャラティンをスペリオルコール!」

「アタッカーを出してきたな!山札からのスペリオルコールはロイヤルパラディンの強みだぜ!」

ヴァンガードのギャラティンでササメユキにアタック!」

「ノーガードです。」

「ドライブチェック!トリガーなし。」

「ダメージチェック。ゲット、クリティカルトリガー。効果は全てヴァンガードに。」

「タ、ターン終了です。」

「私のターン。氷牙姫ツララヒメにライド。スキルで手札からシラユキをスペリオルコール。イビルフェレットのスキル。CB、自身をソウルへ。Rと同名のカードをスペリオルコール。ヴァンガードのシラユキでギャラティンにアタック。」

「ノーガードです。」

「ドライブチェック、ゲット、クリティカルトリガー。パワーをRのシラユキに、クリティカルはヴァンガード に。」

「!!」

「ダメージチェック。ゲット、ドロートリガー。パワーはヴァンガード に。2枚目はトリガーなしです。」

「シラユキでヴァンガード にアタック。」

「ギャラティンでインターセプトします。」

「ターンエンド時、2体のシラユキは手札に戻ります。」

ーーーむらくも。同名のカードをスペリオルコールして闘うトリッキーなデッキなのに使いこなしてる。

平井さん、とても初心者とは思えない。

「僕のターン。」

「、、、行こう。一緒に。」

「?」

「立ち向かえ、僕の分身!ライド、騎士王アルフレッド!!」

「!!」

「イマジナリーギフト!、、、ってどれを獲得できるんでしたっけ?」

「、、、しまらねーな。ギフトはフォース、アクセル、プロテクトから自由に選択できる。自分に合うやつを選べ。」

「あ、ありがとうございます。ではフォースを選択してRに!」

「アルフレッドのスキル!CB2、グレード3、2、1、0のカード1枚をずつスペリオルコール!さらに手札からコール!」

「うおー!えげつねー!一気にフル展開かよ!」

「アルフレッドは自分のRの数1枚につきパワー+2000できます!パワー+10000!」

「アタックです!」

「ガード。」

〜〜〜

「ターン終了です。」

平井さんのダメージは5。次のターンが来れば勝てる!

「私のターン。」

「夢幻の風花シラユキにライド!」

きた。平井さんのエースカード。

「イマジナリーギフト・プロテクトを獲得します。」

「?」

あれ?

フォースかアクセルで攻めてくると思ったのに。プロテクトなのか。何か意図があるのだろうか。それとも、、、

「シラユキのスキル。SB2、相手のユニット3体のパワー−5000します。」

平井さん、スキルを駆使してかなり展開してきた。でもアクセルもフォースもないからシラユキの−5000があってもここは凌ぎ切れる!

「アタック!」

「ガード!」

「、、、アタック!」

「ノーガード!」

「ツインドライブ!、、、トリガーなし。」

「ダメージチェック!クリティカルトリガー!効果は全てヴァンガード に!」

〜〜〜

「ターンエンドです。」

ダメージトリガーもあり、かなり手札を温存できた。このターンで決める!

「僕のターン!もう一度立ち向かえ!僕の分身!ライド、騎士王アルフレッド!!イマジナリーギフト・アクセルを選択です!」

「おお!決めにきたな!」

「アルフレッドのスキル!CB2、グレード3と2を1枚ずつコールします!3枚以上コールしなかったらCC1できます!」

「さらにアルフレッドのスキルで自身にパワー+12000!相手のVがグレード3以上ならカードの効果で登場したユニットにパワー+3000!」

「アルフレッドでヴァンガード にアタック!」

「完全ガード。」

「ツインドライブ!ゲット、クリティカルトリガー!効果は全てRに!セカンドチェック!ゲットヒールトリガー!効果は全て別のRに!」

「!!」

「トリガー2枚、、、なんか持ってんじゃねーかこいつ笑」

「、、、」

胸が熱い。なんでもない、ただのファイトなのに、こんなに楽しいんだ!赤峰さんの言う通り、勝ち負けじゃない、このファイトを通じてアルフレッドと繋がっている感覚。

ーーーこれを、僕はこの感覚を、味わいたかったんだ。ファイトは1人ではできない。誰かと一緒に、本気でぶつかり合う。こんな素晴らしい世界があったんだ!

「アタックです!」

「ノーガード。ヒールなしです。」

「、、、か、勝った?」

「やるじゃん!ユウキ!」

瀬田さんが僕の背中を叩きながら声をかけてきた。少しむせそうになったが、そんなこと気にも留めないくらいの充実感が僕を包む。

「ありがとうございました」

「・・・ありがとうございました。」

平井さんは少し俯いているように見える。そこに声をかけたのは赤峰さんだ。

「負ける時もあるだろ。大事なのは次勝つために何故負けたのかを考えることだ、平井。」

「、、、はい。」

「よーし!次俺とファイトしようぜ!ユウキ!」

「はい!よろしくお願いします!」

〜〜〜

「ありがとうございましたー。」

店員さんの声を背に店を出る。辺りはすっかり暗くなっていた。

「じゃあ!また明日な!ユウキ!」

「皆さん、明日もいるんですか?」

「当たり前だろ!こちとりゃほぼ毎日、ヴァンガードNEOやってんだよ!」

「平井さんも?」

「私は最近始めたばかりだけど、、、都合のいい日は赤峰さんと瀬田さんに教えてもらってます。」

「そういえば皆さんはどういう関係なんですか?」

「俺と赤峰ともう2人で昔、チームを組んでたんだ。でもその内の1人がチームを離れたいって言い出して、向こうに1人付いて、俺が赤峰に付いてったってわけ。」

「そうだったんですね!どうりで仲がいいと思いました!」

「コウタとはただの腐れ縁だ。」

「平井さんは?」

「急に赤峰が連れてきた。割と最近な。」

「ど、どういうことですか!?」

「変な言い方をするな!」

「私、学校でイジメられてたんです。それを見かねた先輩の赤峰さんが仲間に入れてくれました。そこからイジメはなくなって今はお二人にヴァンガードNEOを教わってます。」

「まぁ、そういうことだ。まったく。」

「そうだったんですね。。」

「よし!メンバーもこれで4人!3人でも大会には出られるけどやっぱ4人の方がいいよな!赤峰!」

「そうだな、3人で出るつもりだったが、4人の方がいい。」

「!!」

「僕、大会出るんですか!!!?」

「私、大会出るんですか!!!?」

「当たり前だろ!これからビシバシ鍛えていくから覚悟しとけよ!笑」

ーーーとんとん拍子で話が進む。正直付いていけてない。今日一日でいろんなことがありすぎだよ。

でも、うん、楽しかった。

世界が変わった気がした。今まで見ていた景色に色がついたような感覚。これからどんなことが待っているんだろう!

-to be continued-

ヴァンガードNEOはオリジナルルール、オリジナルカードです。実際のヴァンガードとは異なりますのでご了承ください。