カードファイト!!ヴァンガード NEO

ヴァンガードを題材にしたオリジナル小説です。Twitter→ https://mobile.twitter.com/mizuiro_v

第3話 江藤カエデ

「あなた、名前は?」

「騎士導ユウキです。」

「騎士導、、、」

「?」

「あなたも大変ね。あんなのとチームメイトなんて。」

「いえ!赤峰さんはいい人です!」

「、、、あっそ。まぁいいけど。」

「頑張れよー!ユウキー!」

「準備はいい?」

「はい!」

普段より緊張している。

当然だ。赤峰さん達以外とファイトするのは初めてだ。

僕は、、、どこまでできるだろうか。。

スタンドアップヴァンガード!」

スタンドアップヴァンガード 。」

「スターダスト・トランペッター!」

「ブラックボード・オウム。」

グレートネイチャー!

リアガードを強化して戦うクラン!

もちろん、戦うのは初めて。

もぅーー!大丈夫なのかなぁこれ!

「僕の先攻です。ドロー。ライド、小さな賢者マロン!」

「私のターン、モノキュラス・タイガーにライド。アタック時、山札の上を1枚ドロップゾーンへ。」

「ノーマルユニットなのでパワープラス5,000」

抽選能力。

山札の上からドロップゾーンに落としたカードのタイプによって効果が変わる能力。

「ノーガードです。」

「ターン終了。」

〜〜〜

「立ち向かえ!僕の分身!ライド!!騎士王アルフレッド!!!イマジナリーギフト・フォースを選択です!」

「へぇ、アルフレッドねぇ。」(、、、赤峰、あんたもしかして)

「いいねぇ!ガンガン殴っていけー!ユウキー!」

「アタックです!」

「ガード!」

〜〜〜

「ターン終了です。」

よし、4点まで追い詰めた!

次のターンで決める!

「ねぇあんた。なんでアルフレッドなの?」

「え?」

「なんでロイヤルパラディンでアルフレッドを使っているのって聞いてるの。」

突然なんだ?

何故そんなことが今気になるんだ?

なんだっていいじゃないかそんなこと。

「どうしてそんなこと聞くんですか?好きだから使っているだけです。」

「そう。ならいいけど。」

変な人だ。

なにか含みを持った問いに少し嫌悪感を抱く。

「あなたのターンですよ、江藤さん。」

「ええ、スタンドアンドドロー。」

「そういえば、、、」

「?」

「そういえばあなたのデッキ、"ブラスター・ブレード"は入っていないのね。」

「え?」

「江藤!!ファイトに集中しろ!かき乱そうとしてんのか!!」

「!!」

赤峰さん。

どうしたんだ、いきなり大声出して。

そんなキャラでもないのに。。。

「赤峰、あんた、、、イザベルにライド、イマジナリーギフト・フォースを獲得。」

「イザベルのスキル、CB1、山札の上1枚をドロップゾーンへ。あなたのVがG3なのでイザベルの永続能力により、効果を全て発動。」

ノーマル、トリガー、オーダー。落ちたカードタイプによって効果が変わる抽選能力だけど、イザベルはその全てをカードタイプに関係なく発動できる。

、、、このターン、凌ぎきれるのかなぁ。

「アクセルを獲得。前列のパワー+5,000。」

「さすがカエデ様!このターンで決めちゃってください!」

「アタック。」

「!!ガード!」

「イザベルでアタック時、ドロップゾーンから2枚スペリオルコール。パワー+5,000」

攻撃回数が増えた!

ダメだ、Vをガードしてもリアガードの攻撃を防げない!

ここはクリティカルが出ないことに賭けてノーガードするしかない。

「ノ、ノーガードです。」

「ツインドライブ、ファーストチェック、セカンドチェック、ゲット、クリティカルトリガー。」

「あ!!」

「あなたの負けよ、騎士導くん。」

「ダメージチェック、、、トリガーなし。」

負けた。

あぁ、だから言ったのに。何を舞い上がっていたんだ僕は。

「騎士導くん。。」

「おい、赤峰!どこ行くんだよー!」

「、、、帰るぞ。」

「おい!しゃーねーな。平井ちゃん、ユウキ連れてこいよー!俺らは先行ってる!」

「は、はい。騎士導くん、行こう。」

「、、、はい。」

「カエデ様に逆らうなんで100年早いのよ!一昨日きやがれ!」

「、、、エミコ、口が悪いわよ。」

「騎士導ユウキ、赤峰は多分、気づいてるわよ。あなたの秘密に。」

「!!」

「僕の、、、秘密?」

僕の秘密。なんだ?僕に秘密なんてない。

ただ一つ気になることは、、、

「あの、江藤さん!さっきの、、、」

「?」

「あなたまさか本当に!?」

「はぁ、、、気になるなら私じゃなくて赤峰に聞きなさい。私はあなたの監督役ではありません。」

「わ、わかりました。今日は騒いでしまってごめんなさい。ではまた。」

「ええ、大会で当たったらよろしく。うちは出禁だけど。」

〜〜〜

 

急いで赤峰さん達を追いかける。

今日は走ってばかりだな。

負けた悔しさよりもモヤモヤが残る。江藤さんの質問の意図がわからない。

カードキャピタルについた。

「おお!もっと落ち込んでゆっくり来るかと思ったけど早く帰ってきたな!」

「はい、あの赤峰さん。」

「なんだ?負けたことが悔しかったのか?それとも出禁になってしまったこと?そんなことどっちも気にするな。次勝つためにどうすればいいか考えればいいだけだ。」

「いえ、それもそうなんですけど。」

「じゃあなんだ?」

「あの、、、"ブラスター・ブレード"ってなんですか?」

-to be continued-

ヴァンガードNEOはオリジナルルール、オリジナルカードです。実際のヴァンガードとは異なりますのでご了承ください。

第2話 赤峰ヨシキ

あれから数日が経過した。

ほぼ毎日4人で集まりファイトをしている。

こんな日々、想像すらしていなかった。

学校が終わりまっすぐカードキャピタルに向かう。

赤峰さん、瀬田さん、平井さんと大会に向けてファイトの日々。

すごく充実しているーー

ーーずっとこんな日が続けばいいのに。

学校が終わりカードキャピタルに向かう途中、珍しく平井さんに会った。

「平井さん!!」

「騎士導くん?」

「珍しいね、1人なんて。」

「うん。赤峰さんと瀬田さんは先に行くって。」

「そうなんだ。じゃあ一緒に行こっか。」

しかしカードキャピタルに彼らの姿はなかった。

「あれ?店長、赤峰さんと瀬田さんは?」

「あぁ、なんか隣り町の"エトーカードキャッスル"に行くって言ってたぞ。道場破りだとかなんとか。」

「え!?道場破り!?」

エトーカードキャッスル。

国内最大店舗数を誇るカードショップのことだ。でも隣り町にあったかな?

「そういえば今日オープンって赤峰さん言ってたような、、、」

「僕たちも早く行こうよ!平井さん!」

隣り町はそう遠くはない。

変なことになってなきゃいいけど、、、

20分くらいかけて隣り町に向かう。そこには一際目立つ建物があった。

「、、、すごい。」

10階建てのその建造物はビルというより本当にお城に近い。こんなものが建築されていたことに気づかなかった僕も僕だ。

「な、中に入りましょう。」

自動ドアが無機質に開く。と同時に歓声が聞こえた。

今日オープンだから人が多いのか。いや、それもあるかもしれないがこれは、、、

「見て!騎士導くん!」

「!!」

人混みの中心に見覚えのある人影がある。

「赤峰さん!」

赤峰さんが誰かとファイトしている。

人混みのを掻き分けて前に進む。最前列に乗り出したところで聞き覚えのあるチャラい声がした。

「おーす!ユウキ!平井ちゃん!やっときたか!」

「瀬田さん!これはいったい、、、」

「赤峰と道場破りだっつって殴りこんだんだよ。このショップで一番強いやつとファイトさせろー!つってな!」

今日オープンしたばかりの店に一番強いやつなんているのか?と疑問に思いつつ瀬田さんの話に耳を傾けた。

「んで出てきたのが江藤の嬢ちゃん。オープンだから来てたのかもな。そんで嬢ちゃんが"この子に勝ったら相手してあげる"って。んで赤峰がその子とファイト中ってわけ。」

「江藤、、、さん?」

「江藤カエデ。エトーカードキャッスルの社長令嬢。まだ若いのに何店舗か運営を任されてるって聞いたことあります。ファイトの実力も全国レベルだとか。」

「あ、ありがとう平井さん。」

「今度の大会にも出てくるって噂だぜ。2人ともこのファイト、よーく見とけよ!」

「今、赤峰さんとファイトしている人は?」

「さぁ?嬢ちゃんの友達じゃねーの?名前もわかんねー!」

「さっき自己紹介してあげたでしょ瀬田コウタ!私はカエデ様の元で秘書をしてる石塚エミコよ!」

「あれ?そんなこと言ってたっけ?忘れちまったな。」

「こいつ!ムカつく!!」

「まぁいいわ。いくわよ赤峰!ライド!お化けのリーダーべあとりす!!イマジナリーギフト・アクセル!」

もうG3になってる。石塚さんの使用クランはグランブルー。ドロップゾーンを利用するのが得意なクランだ。

「べあとりすでヴァンガードにアタック!」

「ノーガード。」

「ツインドライブ!、、、ゲット、ドロートリガー!パワーはリアガードに!」

「ダメージチェック。ゲット、クリティカルトリガー。効果は全てヴァンガードに。」

〜〜〜〜〜

「ターンエンド。」

「俺のターン。スタンドアンドドロー。」

「行くぞ。この世の全てのものを焼き尽くす黙示録の炎!!ライド・ザ・ヴァンガード!ドラゴニック・オーバーロード!!」

きた!赤峰さんの分身!かげろう最強のカード。オーバーロードだ!

ここ数日ファイトしてわかったことがある。

赤峰さんは強い!

僕が他のファイターとファイトしたことないからかもしれないけど、

この圧力!この空気!オーバーロードと一体化しているこの感じ!

石塚さんからは感じなかったこの迫力が赤峰さんにはある!

「イマジナリーギフト・フォース!」

「バーサーク・ドラゴンをコール。そしてスキルで相手のリアガードを退却!」

「退却は痛くないわ。すぐに蘇らせることができるもの。」

「そうだよな。これは相性が悪い。」

オーバーロードヴァンガードにアタック!」

「ノーガード!」

「ドライブチェック、クリティカルトリガー。効果は全てヴァンガードに。」

「ダメージチェック。ゲット、ドロートリガー!パワーはヴァンガードに!」

オーバーロードのスキル。CB1、手札を2枚捨てスタンド。」

「!!」

これだ。

オーバーロードの真骨頂。

直接手札が増えるわけではないがヴァンガードが2回アタックしてくるのはかなりの脅威だ。

赤峰さんは相性が悪いと言ってたけど、全然そんなことない。退却がなくてもかげろうは十分オーバーロードのスキルで渡り合える。

「もう一度、オーバーロードでアタック。」

「ちっ!完全ガード!!」

「ツインドライブ。クリティカルトリガー。効果は全てリアガードに。」

〜〜〜

「ターンエンド。」

石塚さんすごい!あの猛攻を凌いだ!

いくらG3ライドターンとはいえ、トリガーの出方次第でファイトが終わる可能性は十分にあり得る。そこをしっかり耐えてくるあたり、この人も只者ではない感じだ。

「よし!私のターン!べあとりすにライド!!イマジナリーギフト・フォース!」

「カエデ様の前で無様な姿を晒す訳にはいかないのよ!赤峰ヨシキ!」

「べあとりすのスキル!CB1、山札の上から3枚ドロップゾーンへ!リアガードを3枚レスト!レストした数だけドロップゾーンからお化けをスペリオルコール!」

グランブルーの中でもお化けを軸にしたデッキですね。」

「そう。クランごとに、ある程度特徴がある。ユウキのロイヤルパラディンはスペリオルコールが特徴だったり、平井ちゃんのむらくもは同名ユニットをスペリオルコールしたりな。」

「さらにその中でどのカードを軸にするかによってデッキの中身が変わってくる。お前のロイヤルパラディンはアルフレッドが軸だけど、世の中にはアルフレッドを入れていないロイヤルパラディンのデッキも山ほどある。」

「なるほど。」

「もちろん、好きなカードを使うのが一番だぜ!そのカードが一番輝くようにデッキを構築する事もカードゲームの醍醐味の一つだからな!」

「べあとりすでヴァンガードにアタック!」

「ガード。」

〜〜〜

「ターンエンド。」

(仕留めきれなかった。なんなのこいつ。あの人とチームだっただけはあるってことね。)

「俺のターン、ドロー。」

「再び焼き尽くせ、黙示録の炎!ドラゴニック・オーバーロード!!」

「!!」

オーバーロードヴァンガード にアタック!」

「ノーガード。トリガーなし。、、、私の、負け。」

「よくやったわエミコ。そう落ち込まないの。いいファイトだったわ。」

「カエデ様、、、」

単なるお嬢様と秘書という関係ではなさそうだ。もしかして瀬田さんの言う通り本当に、、、」

「赤峰、約束通り相手をしてあげる。うちのカードショップに足を踏み入れた以上、ただでは返さないから。」

「、、、」

ほんの数秒の沈黙。

静まり返るフロアに赤峰さんの声だけが聞こえた。

「やーめた。」

「!!」

「あんた!どういうこと!!?」

「だからやめたって。もう疲れたし。」

らしくない言葉。赤峰さんどういうつもりなんだろう。

「ユウキ!!」

「は、はい!」

「お前が戦え。」

「、、、え?」

何故か突然指名が入った。ちょっと待って。僕が!?

「ど、どうして僕なんですか!?赤峰さんのが強いのに!」

「そう言うわけだ、江藤。こいつが俺の代わりに戦う。チームメイトなんだしいいだろ。」

「は?何言ってんのあんた。負けたら出禁なのよ。」

聞いてない!そんな賭けをしていたなんて聞いてなさすぎる!

そんな大事な場面でどうして僕なんだ!

頭が痛い。

なにか悪夢を見ているようだ。

「大丈夫だ。なぁ、ユウキ。」

「ダメですよ!僕、まだ初心者なんです!勝てっこありません!」

そうだ。僕じゃまだ全然相手にならない。

毎日特訓してもらってるけど負けてばかりじゃないか。

絶対に勝てない。

僕じゃ、、、勝てない。

「俺、何回も言ってるだろ。ファイトは勝ち負けが全てじゃない。それに、、、お前は強いよ。」

「!!」

ーーー驚いた。

赤峰さん、僕のこと認めてくれてたんだ。

確かに勝ち負けが全てじゃない。

これは何回も言われてる。負けて得るものもたくさんあるって。

"そういえば僕なんのためにファイトしてたんだっけ?"

強くなりたいからーーー

             ーーー違う。

みんなと仲良くなりたいからーーー

             ーーー違う。

いや、違くないけど、もっと本質は。

楽しいからーーー

「わかりました。僕、戦います。」

-to be continued-

ヴァンガードNEOはオリジナルルール、オリジナルカードです。実際のヴァンガードとは異なりますのでご了承ください。

                 

第1話 出会い

世界のTCG市場は拡大を続け、今や一大ブームとなっているカードゲーム。

その中で最も人気があるのがカードファイトヴァンガード NEOである。

世界のカードファイト人口は数億人を越え、プロのヴァンガードファイターを目指して熱い闘いが繰り広げられていた。

「よし、行こう。」

これは、ヴァンガード NEOを通じて、世界を救う物語である。

自動ドアが無機質に開き、一歩を踏み出す。

地元には何店舗かカードショップがあるが、自宅から一番近いこの「カードキャピタル」に行きたいとずっと思っていた。

「・・・」

店内は賑わっている。

それもそのはずだ。放課後のこの時間は学生も多い。土日祝を除けば一番人がいる時間だろう。

「いらっしゃいませー」

店員さんの声が聞こえた。改めてカードキャピタルに入れたことを実感する。

ただ一つ問題があった。

友達のいない僕にはファイトをする相手がいない。

仕方がないのでショーケースに並んだカードを眺めていた。

それでも僕は楽しかった。

憧れの場所。

見たかった景色。

ファイトこそできないけど、この空間には夢が詰まっている気がした。

暫くして店員さんが話かけてきた。

「ずっと眺めてるけど、欲しいカードでもあるのか?」

「いえいえいえいえ!デッキは持ってるので、、、、」

ビックリして変な返しをしてしまった。

ふと時計を見ると入店から1時間が経過していた。そんなに眺めていたのか僕は。

「そうか?じゃあ、、、おい!赤峰!相手してやれよ!」

「?」

ファイトスペースに腰掛ける3人組の1人がこちらを振り返る。

「いいですけど、知り合いですか?」

「いいや、初めて見る子だ。いいだろ。どうせ3人なんだし。」

「、、、分かりました。」

「よし!行ってこい!」

、、、勝手に話が進んでいく。

でも願ってもないことだ。ちょっと不安だけど、同時にワクワクしていた。

カードキャピタルに入っただけでなく、ファイトまでできるなんて!

「よ、よろしくお願いします。。。」

「おう、よろしく。、、、名前は?」

「騎士導ユウキです。」

「俺は赤峰ヨシキ。こっちが瀬田コウタ、それでこっちが平井ユウリだ。」

「うぃーす!」

瀬田さん、チャラい。

「・・・」

平井さん、女の子だ。おとなしそうだな。

「ファイトの経験は?」

「ないです。ルールは知ってるんですけど、、、」

「そうか、じゃあ平井、相手してやれ。」

「!」

「私ですか!?私も初心者ですけど、、、」

「何回かファイトしただろ。それに一緒に教えながらやるから大丈夫だ。」

「わかりました、、、よろしくお願いします。」

「はい!よろしくお願いします!」

気持ちが昂っていく。ずっと憧れていた。この瞬間を。

ヴァンガード NEOでいいんだよな?そしたらまずはライドデッキを用意しろ。グレード0、1、2、3を1枚ずつ置いておく。ライドフェイズに手札を1枚捨ててそこからライドしていくんだ。」

「は、はい!」

「山札をシャッフルして上の5枚を手札に。そして好きな枚数山札の下に戻して、戻した枚数と同じ数を上から手札に加え、また山札をシャッフル。ライドデッキのグレード0のカードをVサークルに裏向きでセットして準備完了だ。」

淡々と進んでいく。

ーーー昂っているとは言ったけど妙に落ち着いてもいる。何故?

楽しみなのは変わらない。でも何故か。

この気持ちを表現できない。

「イメージしろ。お前たちは惑星クレイに降り立ったか弱き霊体。今からその身にユニットを宿し、ファイトという名の闘いを始める。勝ち負けが全てじゃない。全力で闘い相手を認め合う。」

「でもまぁ、気楽にいこーぜ。・・・熱いファイトを。」

「はい!」

「はい。」

、、、平井さんは落ち着いている。いや、緊張してるのかな?

「じゃあいくぞ。」

スタンドアップヴァンガード !」

スタンドアップヴァンガード !」

「スターダスト・トランペッター!」

「忍獣イビルフェレット。」

ーーー始まった。

「ぼ、僕の先行ですね。ドロー。手札を捨ててライド。小さな賢者マロン!」

「お!ロイヤルパラディンだな!かっこいい〜!」

「スターダスト・トランペッターは先駆で移動します。マロンのスキル!手札を1枚捨てて1枚ドロー。ターン終了です。」

「なんだ。ちゃんとできるじゃねーか。」

赤峰さんが驚くのも無理はない。きっと一から教えるつもりだったのだろう。

ヴァンガードを始めたくてずっとイメージはしていた。いつか友達ができてファイトする日を夢見て。

だからルールは頭に入ってる。

うん、いける。このロイヤルパラディンたちと一緒なら。

「私のターン。見習い妖怪ササメユキにライド。イビルフェレットは先駆で移動。ササメユキのスキル。山札の上7枚からシラユキを手札に加えます。」

「お、平井ちゃん順調だな!」

節々で合いの手を入れてくる。

瀬田さんは実況向きな性格のようだ。

「では、ササメユキでヴァンガードにアタックです。」

「えーと、、、」

「まぁ、最初はノーガードでいいんじゃねーか。ダメージがあると強力なスキルも使えるし。」

「ありがとうございます。ではノーガードで。」

「ドライブチェック。トリガーなし。」

ダメージチェック。こちらもトリガーなしです。」

「ターンエンドです。」

「僕のターン。沈黙の騎士ギャラティンにライド!スターダスト・トランペッターのスキル!CB、自身をソウルへ。山札からギャラティンをスペリオルコール!」

「アタッカーを出してきたな!山札からのスペリオルコールはロイヤルパラディンの強みだぜ!」

ヴァンガードのギャラティンでササメユキにアタック!」

「ノーガードです。」

「ドライブチェック!トリガーなし。」

「ダメージチェック。ゲット、クリティカルトリガー。効果は全てヴァンガードに。」

「タ、ターン終了です。」

「私のターン。氷牙姫ツララヒメにライド。スキルで手札からシラユキをスペリオルコール。イビルフェレットのスキル。CB、自身をソウルへ。Rと同名のカードをスペリオルコール。ヴァンガードのシラユキでギャラティンにアタック。」

「ノーガードです。」

「ドライブチェック、ゲット、クリティカルトリガー。パワーをRのシラユキに、クリティカルはヴァンガード に。」

「!!」

「ダメージチェック。ゲット、ドロートリガー。パワーはヴァンガード に。2枚目はトリガーなしです。」

「シラユキでヴァンガード にアタック。」

「ギャラティンでインターセプトします。」

「ターンエンド時、2体のシラユキは手札に戻ります。」

ーーーむらくも。同名のカードをスペリオルコールして闘うトリッキーなデッキなのに使いこなしてる。

平井さん、とても初心者とは思えない。

「僕のターン。」

「、、、行こう。一緒に。」

「?」

「立ち向かえ、僕の分身!ライド、騎士王アルフレッド!!」

「!!」

「イマジナリーギフト!、、、ってどれを獲得できるんでしたっけ?」

「、、、しまらねーな。ギフトはフォース、アクセル、プロテクトから自由に選択できる。自分に合うやつを選べ。」

「あ、ありがとうございます。ではフォースを選択してRに!」

「アルフレッドのスキル!CB2、グレード3、2、1、0のカード1枚をずつスペリオルコール!さらに手札からコール!」

「うおー!えげつねー!一気にフル展開かよ!」

「アルフレッドは自分のRの数1枚につきパワー+2000できます!パワー+10000!」

「アタックです!」

「ガード。」

〜〜〜

「ターン終了です。」

平井さんのダメージは5。次のターンが来れば勝てる!

「私のターン。」

「夢幻の風花シラユキにライド!」

きた。平井さんのエースカード。

「イマジナリーギフト・プロテクトを獲得します。」

「?」

あれ?

フォースかアクセルで攻めてくると思ったのに。プロテクトなのか。何か意図があるのだろうか。それとも、、、

「シラユキのスキル。SB2、相手のユニット3体のパワー−5000します。」

平井さん、スキルを駆使してかなり展開してきた。でもアクセルもフォースもないからシラユキの−5000があってもここは凌ぎ切れる!

「アタック!」

「ガード!」

「、、、アタック!」

「ノーガード!」

「ツインドライブ!、、、トリガーなし。」

「ダメージチェック!クリティカルトリガー!効果は全てヴァンガード に!」

〜〜〜

「ターンエンドです。」

ダメージトリガーもあり、かなり手札を温存できた。このターンで決める!

「僕のターン!もう一度立ち向かえ!僕の分身!ライド、騎士王アルフレッド!!イマジナリーギフト・アクセルを選択です!」

「おお!決めにきたな!」

「アルフレッドのスキル!CB2、グレード3と2を1枚ずつコールします!3枚以上コールしなかったらCC1できます!」

「さらにアルフレッドのスキルで自身にパワー+12000!相手のVがグレード3以上ならカードの効果で登場したユニットにパワー+3000!」

「アルフレッドでヴァンガード にアタック!」

「完全ガード。」

「ツインドライブ!ゲット、クリティカルトリガー!効果は全てRに!セカンドチェック!ゲットヒールトリガー!効果は全て別のRに!」

「!!」

「トリガー2枚、、、なんか持ってんじゃねーかこいつ笑」

「、、、」

胸が熱い。なんでもない、ただのファイトなのに、こんなに楽しいんだ!赤峰さんの言う通り、勝ち負けじゃない、このファイトを通じてアルフレッドと繋がっている感覚。

ーーーこれを、僕はこの感覚を、味わいたかったんだ。ファイトは1人ではできない。誰かと一緒に、本気でぶつかり合う。こんな素晴らしい世界があったんだ!

「アタックです!」

「ノーガード。ヒールなしです。」

「、、、か、勝った?」

「やるじゃん!ユウキ!」

瀬田さんが僕の背中を叩きながら声をかけてきた。少しむせそうになったが、そんなこと気にも留めないくらいの充実感が僕を包む。

「ありがとうございました」

「・・・ありがとうございました。」

平井さんは少し俯いているように見える。そこに声をかけたのは赤峰さんだ。

「負ける時もあるだろ。大事なのは次勝つために何故負けたのかを考えることだ、平井。」

「、、、はい。」

「よーし!次俺とファイトしようぜ!ユウキ!」

「はい!よろしくお願いします!」

〜〜〜

「ありがとうございましたー。」

店員さんの声を背に店を出る。辺りはすっかり暗くなっていた。

「じゃあ!また明日な!ユウキ!」

「皆さん、明日もいるんですか?」

「当たり前だろ!こちとりゃほぼ毎日、ヴァンガードNEOやってんだよ!」

「平井さんも?」

「私は最近始めたばかりだけど、、、都合のいい日は赤峰さんと瀬田さんに教えてもらってます。」

「そういえば皆さんはどういう関係なんですか?」

「俺と赤峰ともう2人で昔、チームを組んでたんだ。でもその内の1人がチームを離れたいって言い出して、向こうに1人付いて、俺が赤峰に付いてったってわけ。」

「そうだったんですね!どうりで仲がいいと思いました!」

「コウタとはただの腐れ縁だ。」

「平井さんは?」

「急に赤峰が連れてきた。割と最近な。」

「ど、どういうことですか!?」

「変な言い方をするな!」

「私、学校でイジメられてたんです。それを見かねた先輩の赤峰さんが仲間に入れてくれました。そこからイジメはなくなって今はお二人にヴァンガードNEOを教わってます。」

「まぁ、そういうことだ。まったく。」

「そうだったんですね。。」

「よし!メンバーもこれで4人!3人でも大会には出られるけどやっぱ4人の方がいいよな!赤峰!」

「そうだな、3人で出るつもりだったが、4人の方がいい。」

「!!」

「僕、大会出るんですか!!!?」

「私、大会出るんですか!!!?」

「当たり前だろ!これからビシバシ鍛えていくから覚悟しとけよ!笑」

ーーーとんとん拍子で話が進む。正直付いていけてない。今日一日でいろんなことがありすぎだよ。

でも、うん、楽しかった。

世界が変わった気がした。今まで見ていた景色に色がついたような感覚。これからどんなことが待っているんだろう!

-to be continued-

ヴァンガードNEOはオリジナルルール、オリジナルカードです。実際のヴァンガードとは異なりますのでご了承ください。

第0話 始まりの声

「はぁ、、、」

放課後、ひとり公園でため息をつく。

この公園にはよく来る。理由は、、、

学校に友達はいないし、部活もしてない。好きなことはなく、得意なこともない。

でも、興味のあることなら、、、

「こんな所でなにしてるんですか?」

、、、話しかけられた。こんなことは初めてだ。

「、、、何もしていません。」

我ながら冷たい返事だ。こういう時、明るく返せていたら友達もいただろうに。

「そうですか、それは寂しいですねー。ほら、その子たちも悲しいみたいです。」

「?」

彼は鞄を指差した。まるでこの鞄の中に何が入っているかわかっているみたいに。

「"この子たち"って、誰のことですか?」

終始笑顔だった彼の表情が一瞬曇る。しかし、すぐ笑顔に戻り、

「そこのカードショップに行ってみたらどうですか?興味あるんでしょう?ヴァンガード 。勇気を出して一歩踏み出してみましょうよ。、、、自分を変えられるのは自分だけなんですから。」

まるで僕のことをよく知っているかのような口振りだ。

少し嫌悪感を抱く。それと同時に少しの勇気ももらった気がした。

「それじゃあ僕はこれで。またどこかでお会いしましょう。」

彼は笑顔を崩すことなくどこかに立ち去ってしまった。

「変な人だったなぁ。」

「よし。」

きっかけはなんだってよかった。

ただ僕にはこの一歩が大きく感じただけ。

だから少し勇気をもらえたんだと自分に言い聞かせて。

新しい扉を開いてみることにした。

-to be continued-