第0話 始まりの声
「はぁ、、、」
放課後、ひとり公園でため息をつく。
この公園にはよく来る。理由は、、、
学校に友達はいないし、部活もしてない。好きなことはなく、得意なこともない。
でも、興味のあることなら、、、
「こんな所でなにしてるんですか?」
、、、話しかけられた。こんなことは初めてだ。
「、、、何もしていません。」
我ながら冷たい返事だ。こういう時、明るく返せていたら友達もいただろうに。
「そうですか、それは寂しいですねー。ほら、その子たちも悲しいみたいです。」
「?」
彼は鞄を指差した。まるでこの鞄の中に何が入っているかわかっているみたいに。
「"この子たち"って、誰のことですか?」
終始笑顔だった彼の表情が一瞬曇る。しかし、すぐ笑顔に戻り、
「そこのカードショップに行ってみたらどうですか?興味あるんでしょう?ヴァンガード 。勇気を出して一歩踏み出してみましょうよ。、、、自分を変えられるのは自分だけなんですから。」
まるで僕のことをよく知っているかのような口振りだ。
少し嫌悪感を抱く。それと同時に少しの勇気ももらった気がした。
「それじゃあ僕はこれで。またどこかでお会いしましょう。」
彼は笑顔を崩すことなくどこかに立ち去ってしまった。
「変な人だったなぁ。」
「よし。」
きっかけはなんだってよかった。
ただ僕にはこの一歩が大きく感じただけ。
だから少し勇気をもらえたんだと自分に言い聞かせて。
新しい扉を開いてみることにした。
-to be continued-